順天堂大学のトレーニングの質を向上させたい。なぜならアスリートの最大の敵は怪我だから。そう熱く語るのは、1年生で同好会を作った、ボディメンテ同好会同長の村下斗騎也(スポ1)だ。彼は高校時代ウエイトリフティングを専門種目としていて、県大会2連覇、関東大会2大会連続出場(その内1回はコロナウイルス対策として中止)、さらにインターハイ出場を果たすなど輝かしい成績を残した。しかし本人はこの成績に悔いしか残っていないと言った。なぜなら彼は、3年生の頃、6月のインターハイ予選を控えた3月に、練習で右手首を粉砕骨折してしまったのだ。完治してないまま出場した県予選は惜しくも準優勝、インターハイ本線出場を果たすも、県大会3連覇を達成することが出来なかった。さらにその後リハビリに時間が回せなかったため、インターハイの本戦にも骨折が完治していないまま出場。本領を発揮出来ず、悔し涙をのんだと語った。
「推薦や誘いといった話も気づいたら全て水の泡になってましたね」「監督には『お前は表彰台に登れる才能がある』とまで言われてたのに、ほんの一瞬の事故で期待を裏切ってしまいました」と話す村下。そんな彼の右手が治ることはもうないのだ。
そんな彼は何故この同好会を作ったのか。
彼は真剣な顔で語った。「自分のように、怪我で選手としての限界を作って欲しく無いからです。」と。彼は選手時代の輝かしい成績を捨て、選手をサポートする立場に回ったのだ。
彼の指導理念は「怪我をしない完璧なフォームをつくる」だ。ウエイトトレーニングにおいて怪我はつきものだ。彼は、「多くの学生が、補強のために行っているトレーニングで自分から怪我をするトレーニングをしています。しかし、専門種目の強化のためにやっているトレーニングで怪我をするのは1番馬鹿らしいですよね。それを支えるトレーナーも勉強で得た知識だけでなく、自分の体で試して、初めて人に教えられる、それがトレーナーのあるべき姿だと思います。机上トレーナーは言い方悪く言えば無責任だと思います。」と語った。
彼の指導は、重さをあらかじめ決めず、フォームの完成度に対して、その人のフォームが崩れない重さでメニューを決めている。彼の悔しい経験がよく現れた指導法だ。彼の指導に賛同する人は多い。彼の指導を受けたい学生は、学年の垣根を越え、最近では4年生や3年生にまで指導をしている。そのうちの1人、スキー部の部長山内大空(スポ4)は、彼の指導を初めて受けた日に、スキー部のs/cコーチにスカウトした。山内は村下の指導について、「自分がやってたウエイトリフティングの経験を生かした指導をしているため、言葉で指導するというより、正しい動作を見せられるっていう強みがある。だから違いが分かりやすくて修正しやすい。」と語った。
そんな彼を中心に活動しているボディメンテ同好会は、13人(入部届けを出してないが活動している人を含めれば20人ほど)で、1年生がほとんどである。初めは筋トレする部活として、村下、宮國、伊藤の1年生4人で創設した。すると指導を受けたいと入部する人が増え、1ヶ月で部活になる最低人数の10人を超えたのだ。今では4人は自分自身の筋トレをしながら人に指導することが多くなってきている。
「今自分は横浜から通っているので放課後の部活動の指導とかは出来てないです。しかし来年は酒々井で1人暮らしをするので、スキー部とは別にまたもう一つ、どこかの部活のS/Cコーチとかをして、飛躍的に部活動の成績を上げてみたいですね。」と笑顔で語った。
来年彼がどの部活につくのか。そしてこれからのボディメンテ同好会の活動がとても楽しみだ。最後に彼は、「今現役で成長し続ける学生、トレーナーをしている学生、筋トレ好きな学生は、1度ボディメンテ同好会に来てください!」としめた。
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