今夏のパリパラリンピックで、本学OBの佐野優人選手(2023年卒)がゴールボール男子チームの金メダル獲得に大きく貢献した。佐野選手が所属していた障がい者スポーツ同好会では毎年、男女ともに日本選手権予選に向けてゴールボールの練習に取り組んでいる。そこで今回は、「順天堂Moons」(以下Moons)と「順天堂Abloom」(以下Abloom) の2チームの挑戦となった女子予選に密着した。
各チームの出場選手は以下の通り。
Moons(4年福田みつき、4年八木菜摘、2年葛岡佳音、1年市岡桃果)
Abloom(3年菊地彩里、3年金野愛未、1年大沼愛香、1年田原那美)
8月19日に行われたオンライン組み合わせ抽選会では、全8チームが4チームずつ2つのブロックに振り分けられ、各ブロック上位3チームが本選に進出できるレギュレーションとなった。しかし、驚くことに本学の2チームが同じ組に入り、さらに昨年の準優勝チームの「なでしこ」や昨年本選出場チームの「RE☆STARTS」とも同じ組み合わせになった。
前評判として、なでしことRE☆STARTSは順当に本選に進出し、MoonsとAbloomの直接対決の勝者が残る本選進出1枠に入るとみられていたこともあり、練習の段階からお互いを意識しあうライバル関係になっていた。
迎えた9月21日と22日の2日間、滋賀県守山市民体育館にて第31回日本ゴールボール選手権大会女子予選大会が開催された。パリパラリンピックでゴールボール女子6位入賞に貢献した選手たちも名を連ね、11月に行われる本選出場の6枠をかけた熱戦が繰り広げられた。
大会初日。本選出場をかけた順天堂直接対決は両チームの初戦として組まれた。
大会初戦ということもあり緊張感が漂う中、Moonsは八木、福田、市岡の布陣で、Abloomは大沼、菊地、金野を先発で配置し、互いに慎重な立ち上がりを見せた。前半1分42秒、Moonsの福田が先制点を決めて1-0と先制すると、続く3分32秒に市岡が得点、さらに5分26秒にも市岡が得点し、Moonsが3-0とリードを広げる。前半8分6秒には市岡がハットトリックを達成し、4-0で試合を優位に進める。Abloomはリードを許す苦しい状況を打破すべく、先に選手交代。大沼が下がり田原を入れ、流れを変えようと試みたがMoonsの守備に阻まれ、点を奪えないまま前半を終了。
後半に入り、Moonsは市岡に代えて葛岡を投入。一方、Abloomは布陣を変更せず試合に臨む。後半開始早々の2分28秒、Abloomの金野が待望のゴールを決めて1点を返し、4-1。その後、Moonsも福田のゴールで6-2とリードを保つが、Abloomの大沼が4分と4分29秒に連続ゴールを決め、4-6と肉薄。追い上げられたMoonsは流れを断ち切ろうと市岡を再投入するが、Abloomは6分35秒に金野が得点し、さらに6分47秒には大沼が同点弾を決め、6-6で追いつく。
試合終盤、Moonsの八木が7分に正確なショットを決め、再び7-6とリードを奪い返す。さらに8分15秒にはAbloomのペナルティによりMoonsにペナルティスローのチャンスが訪れるも、Abloomの金野が得点を阻止。Abloomが食らいつく中、Moonsの福田が10分に決定的なシュートを決め、再度リードを奪う。試合終了間際の11分34秒にも福田が追加点を挙げ、その後Abloomは必至の攻撃でゴールへと迫るも阻まれ、9-7でMoonsが本選出場に向けて大きな1勝を挙げる。
初戦から緊迫感あふれる試合内容となり、選手たちは試合後コート中央で互いに健闘を称え合った。Moonsは序盤からリードを保ちながら有利に試合を進め、Abloomも後半で驚異的な粘りを見せるなど、ゴールボールの醍醐味を存分に披露した一戦となった。
初戦に勝利したMoonsはその後の第2戦になでしこ、2日目の第3戦にRE☆STARTSと対戦。昨年準優勝チームの壁は高く第2戦は0-10で敗戦。第3戦は1点奪うなど格上のチームに善戦したが1-7で敗戦。大会通じて1勝2敗でグループ3位となり見事学生チーム史上初の本選進出が決定した。
対して、初戦を落としたAbloomはその後の第2戦でRE☆STARTS、さらに2日目の第3戦でなでしこと対戦。格上チーム相手に主導権を握れず2戦ともに0-10で敗戦。大会通じて0勝3敗グループ4位で予選敗退が決定した。
晴眼者も参加できる日本選手権。パリパラリンピアンも多く出場し、険しい戦いになること間違い無いが、本戦も悔いなく戦い、記録より記憶に残る試合となるよう期待したい。
(文責:中尾凌誠)
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